ひやむぎの話

ひやむぎの系譜を辿る―「志な乃」から始まる物語

日本初のひやむぎ専門店「特撰ひやむぎ きわだち」が生まれるきっかけを辿るととある蕎麦屋が関係しています。

今回はその“ひやむぎの系譜”を振り返りながら、生ひやむぎの歴史についてお話したいと思います。

「志な乃」→「松翁」→「蕎楽亭」→当店へ続く系譜

ひやむぎ専門店を開業したその理由は自分の修行時代にまでさかのぼります。
神楽坂の「蕎楽亭」で修行していた頃、初めて手打ちの生ひやむぎを食べて、その美味しさに衝撃を受けたのがすべての始まりでした。

もちもちとした食感、ほのかに香る小麦の風味、そして何よりも涼やかな喉ごし。それまでの乾麺のひやむぎとはまったく別物でした。

では、蕎楽亭は蕎麦屋なのに、なぜひやむぎを出していたのか。ここにも興味深い背景があります。

蕎楽亭の店主は、神保町の「松翁(まつおう)」という蕎麦屋で修行していました。そしてこの松翁でも、手打ちの生ひやむぎを提供していたのです。

さらに、その松翁の店主が修行していたのが、神楽坂にあった「志な乃(しなの)」という蕎麦屋。そこでも、昔から夏になると自家製の生ひやむぎを出していたと聞いています。

つまり、生ひやむぎの流れはこうなります。

志な乃 → 松翁 → 蕎楽亭 → 当店

この系譜を知ったとき、自分の店の存在もまた、その流れの先にあるのだと思いました。

志な乃がなければ松翁もなく、松翁がなければ蕎楽亭もなく、蕎楽亭がなければ今の「特撰ひやむぎ きわだち」は存在しなかったはずです。

こういった飲食店の系譜を辿るのは、歴史の探訪のようでとても面白いものです。
自分が感動した味が、どこから来たのかを知ると、その一皿の重みも変わってくる気がします。

これからも、ひやむぎという少しマイナーな存在の魅力を、こうして丁寧に伝えていけたらと思います。
当店でひやむぎを食べるときには、そんな背景にも少し思いを馳せていただけたら嬉しいです。

【特撰ひやむぎ きわだち】
東京都墨田区太平1−22−1 ソラナ錦糸町102
(錦糸町駅北口より徒歩8分、東京スカイツリーより徒歩14分)
12:00~15:00 18:30~21:00 (L.O.30分前 / 木・金はランチのみ)
火・水曜日定休
※席がハイカウンター6席のみのため、大人数や小さなお子様はご案内できないことがございます。
※ご予約はネット予約のみで、記載されている指定の時間及びコースのみのご予約となります。

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