
当店には、時々「実はひやむぎがあまり好きじゃなくて…」というお客さまが来ます。
不思議に思って話を聞いてみると、ほとんどの方が口をそろえて言うのが、「子どもの頃、夏に毎日のように出てきたから」という理由です。
お母さんの立場で考えれば、それはとても自然な選択だったけど、食べる側の子どもにとっては、同じものが続くことで「またか…」という気持ちが積もってしまったのかもしれません。
「手抜き料理」だったひやむぎの印象
実際に話を聞くと、「ひやむぎ=手抜き」というイメージが強く残っている方も多いようです。
たしかに、市販の乾麺をさっと茹でて、めんつゆを用意するだけ。手間も時間もかからないぶん、どこか雑な扱いをされているような印象を持ってしまった方もいるのかもしれません。
でも、その背景には「家族のために、暑い中でも何とかご飯を用意しよう」という気持ちがあったのではないかと思います。
「これなら食べられるかも」と言われるひやむぎ
そんなひやむぎに苦手意識を持っている方が、当店に来てくれて一皿食べ終えたあとに「これ、美味しいですね」と言ってくれることがあります。
その瞬間は、やはりとても嬉しい。
当店のひやむぎは、自家製生麺で全粒粉を配合しているため、香りがよく、かみしめたときにほんのりと小麦の風味が広がります。
乾麺のようなツルツルだけではなく、ほどよいコシと、鼻に抜けるような小麦の香りも特徴です。
おそらく、子どもの頃に食べていたものとはまったく別の食べ物に感じられると思います。
昔の記憶を、少しだけ更新するような体験
食べ物の好き嫌いは、味や食感だけでなく、「いつ、どんなふうに食べたか」によっても大きく左右されるものです。
だからこそ、当時の記憶と少し距離をとった場所で、「ひやむぎ」をもう一度体験してもらえたらと思っています。
「嫌いだったけど、これは美味しい」
そんな言葉を聞けるたびに、「料理って、記憶を少しやわらかくしてくれるものなんだな」と感じます。
もし、ひやむぎに少しでも苦手な思い出があるなら、当店の一皿を試していただけたら嬉しいです。昔のイメージとはちがう、新しいひやむぎの印象を、きっと感じていただけると思います。
【特撰ひやむぎ きわだち】
東京都墨田区太平1−22−1 ソラナ錦糸町102
(錦糸町駅北口より徒歩8分、東京スカイツリーより徒歩14分)
12:00~15:00 18:30~21:00 (L.O.30分前 / 木・金はランチのみ)
火・水曜日定休
※席がハイカウンター6席のみのため、大人数や小さなお子様はご案内できないことがございます。
※ご予約はネット予約のみで、記載されている指定の時間及びコースのみのご予約となります。